わたしが追放令嬢だった頃 ~『英雄断罪』図書館置き去り事件~

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 あれは、小学三年生の夏休み――。  家族でC県のS灯台へ行った時のことだ。  わたしは、生まれて初めて灯台の一番上まで上り、そこから眼下に広がる海を見た。  緩やかにカーブを描く水平線は、とても美しかった。  絶景にうっとりしていたのも束の間、わたしは、そこでとんでもないことに気づき、目眩を起こして倒れそうになったのだ! (わ、わたし、昔、こういう高くて狭い場所に閉じ込められていたことがある……。そして、小さな窓から、同じような水平線を毎日眺めていた気がする……)  小学三年生にとっての「昔」って、いったいいつだ? ――と考えていて、やっと思い当たったんだよね。  それは、「前世の記憶」だってことに――。
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