7. 対話と違和感

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「それでは、また近い内に改めての訪問となりますが……」  程なくしてレオノス率いる一行は島を出航する事となった。出来るだけ早い日程での帰還を目指す為、陸路を通らず海を渡り直接国へ帰るという。海魔が遅いかかる危険な海である事を考えれば極めて無謀な事だったが、そこは軍の精鋭達だ。リスクを認識しながらも、それでも早く水を届ける為にあえて海を渡る覚悟なのだ。 「うむ。今回の量ではあまりもたんからな。次はでかい貨物船で来るといい」  そう言う丈一郎の態度は最初の時とはだいぶ違うものだった。どうやら密かに観察していたのは丈一郎も同じだった様で、レオノスの実直さや嘘偽りない本質の部分を見極めたからかもしれない。そして今回ヴァレンティア王国と同盟を結べた事は二人にとってとても良かった。軍事力に優れたこの国が味方についてくれるなら今後他国に脅かされるリスクも減るだろうし牽制も出来る。無論、何も言わずともレオノスの方は既になんでも力になるつもりでいるのだが……。  丈一郎から視線を少し横にずらし、レオノスは果音に向かって言葉をかける。 「魔女よ、今回は本当に世話になった。この支援に対する借りは必ず返すと誓おう。窮地を救ってくれた事、心より感謝する」 「いいえ、そんなっ……当然の事をしただけですから。それより、病気の方、早く良くなるといいですね。私、さっきの鳥さんの薬草に願掛けしてみたんですよ、早く元気になりますようにって。だからきっと良くなります、回復をお祈りしてますね」 「……そうか……」 「えっと、ここへはまた、すぐ来て下さるんですよね?」 「……ん、ああ。恐らくは10日後くらいだろうか。早々に、また時間を取らせてしまってすまないが……」 「いいんですよ、またいっぱい作り置きしてお待ちしてますね!」
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