第1話 僕は可愛いらしい

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第1話 僕は可愛いらしい

1時間くらい掛けてメイクをして、ムダ毛処理をする。 どうせなら可愛いと思われたいから、ミニスカに胸元の大きく空いた……アイドルのステージ衣装のコスプレにした。 親が付けた名前は、大川美麗(おおかわみれい)、美しい子に成って欲しかったのだろう。 高1だから普段は学校指定の制服だが、学ランかセーラー服かの選択は、自由というのが、今頃の校風となっている。 だから、僕の他にも女装してセーラー服で登校してくる男の娘は居るわけで……… その中でもピカイチ可愛いのが僕というわけだ。 「みれい~!」 息を切らせて駆けてくるのは、クラスメートの高木詩織(たかぎしおり)。 「ねえ、聞いた? ロックバンド『カラフルストーンズ』のボーカル担当のテツヤに恋人が居たんだって、なんでも一般人らしい………」 「ああ、聞いたよツイッターズで囁かれてたよね。」 「ねえ、みれい、改めて聞くんだけど、アンタって男なの? 可愛い過ぎるんだけど、もうハグしたいし。」 「って、もうハグしてるし。 僕は女装が趣味だけど、恋愛対象は女だからね。」 「それ、ストライクだわ。 私と付き合ってよ、私は女装好きの男子が大好物だし、恋愛対象は男……いや、バイセクシャルなの。」 「んん………ちょっと考えさせて。友達なら良いけど、恋愛対象となると、自分のイチバンって事だしね。」 「ええ? もう3ヶ月も返事を待たされてるんですけど……。そろそろちゃんとした返事をくれないと………寂しくて浮気しちゃうぞ。」 「高校生だし……、何を期待してるんだか分からないんだけど、僕の操を奪おうとしてる?」 「それ、イエスだわ。(笑)」 「やっぱり保留にしとくわ。(笑)」
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