ポッケ、ポッケ、ポッケ。

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ポッケ、ポッケ、ポッケ。

 これは僕が小学校の時の、怖い話。  なんでクリスマスのシーズンに怪談なんかブログに載せるの?と思われるかもしれないが、この話はクリスマスと無関係ではないのだ。  ただ、子供の夢や希望をぐっちゃりと壊してしまいそうな話なのでそこは気を付けて読んで欲しい。  みんなは、サンタクロースをどう考えているだろうか。  サンタの存在を何歳まで信じていたのか?については人によって分かれると思う。僕は小学校低学年で気づいてしまったクチだ。これは、弟の誕生日プレゼントに、某有名なデパートの包み紙を使ってしまった両親にも問題はあったと思うけれど。  サンタクロースはいない。  両親が毎年、それとなくサンタさんに欲しいものを聞いてきたのもそういうことなのだ、と思えば納得がいくというもの。それでも、僕はプレゼントを貰えるのは嬉しかったし、早々にバラしてくれた両親に不満を抱くこともなかった。なるべく弟には長く夢を見させてあげようと思って、ちょっと工夫することはあったけれども。  さてそんな僕が小学校四年生になった時のことである。  四年生くらいだと、女子はともかく男子はまだまだ“サンタクロース”を信じている子も少なくない。クリスマスイブが近づくと、学校でもそう言う話をすることは増えるのだった。 「サンタクロースって、すげえよなあ」  僕の友達のカンちゃんもその一人。大きな体の力持ちで、一見すると某猫型ロボットのアニメに出てくるガキ大将にも似ている。でも全然いじめっ子じゃない。喧嘩は強いけれど、それは弱い者いじめをしている奴をやっつける時だけだ。そして。 「俺んち、マンションの十階なんだぜ。オートロックもついてる。それなのにちゃんと俺の部屋まで入ってくるんだ。今どきのサンタは優秀だよな!」 「そ、そうだね」 「ていうか、サンタが本気出したら、ミステリーの密室トリックとか全部無意味になるかんじ?すっげー!コナン泣かせじゃん!」 「あ、ははははは……」  キラキラした目で語る彼を、僕は苦笑いしながら見つめていたのだった。
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