序盤

1/1
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/16ページ

序盤

   ただ今、深夜十一時五十九分にて。  ある講演会の音響器具から、《ピ、ピ、ピ……》と規則的な機械音が控えめに鳴り響く。時折、ジジッ…と砂嵐のような汚い音も混ざり耳に受け付けられにくい。そして、 《 ポーーーーーーンッ!! 》  一つの綺麗なソプラノ音が、お知らせをする。  現在、深夜零時ちょうど。  直後、淡いオレンジ色の照明ランプ達が一箇所に集まり、黒い塊に強く、強く光を降り注いでいた。  ーー 塊。いや、一人の人間にだ。  顔を俯かせたままの佇んでいる相手は、すっ……と静かに顔を上げる。 ◇◇◇ 「どーも、こんばんは! 今回も不定期恒例、神龍時 宇宙の気まぐれ劇場のお時間がやってきましたー。 抽選で当たった観覧席の皆さん、お待たせです☆」(営業スマイル)  今回は初めての方もいますので。では、軽く自己紹介をしますね!  改めまして、僕は【神龍時 宇宙 (しんりゅうじ そら)】と申します。  家族構成は両親と僕含めて六人兄弟、合計八人家族になります。  僕達は六つ子になりまして、ちなみに僕本人は次男になりますね。  職業は小説家と皆んなのサポート役として【厄除師】のお仕事もやってるんですよ〜♪  な•の•で  僕達、十二支家系が一般の家庭より少し、ほんのすこーしだけ特殊なだけ。  それ以外は、そこら辺の一般家庭と同じなのでご安心下さい♪  話しは戻りますが、〈厄祓い〉のおシゴトは【公主様】という上司兼社長さんが、お客様から受けた依頼を引き受けてくるんですよ。  その内容に合わせて僕達(十二支)に振り分けられます。  詳細により報酬も違って来るので、ある意味取り合い合戦になりますね☆  個人事業主寄りのシゴトと考えて頂けたら分かりやすいと思いますよー♪  な • の ・ で!  羊一族の稼ぎ頭の当主である、僕の気持ちを気づいてくれない鈍感アル中女、〈羊谷 耀さん〉。  うちの愚弟と酔っ払って、〈能力〉を誤爆させて自宅を半壊したアホ猿当主。〈猿堂 陽介(えんどう ようすけ)〉というクソッたれ。  この二人は、腹が立ったので海外に強制的に行ってもら……語学力を存分に発揮して貰えるように。  年下ながらの僕は尊敬を込めてと。  尊敬をこ・め・て。(嘘)  応援をしようと思い、先日公主様に提案を出したんですよ。改めて思うと……  僕って他人思いだよなぁ〜。(しみじみ)  と、いうわけで!  いつものように今から。僕は家族の為、家計のために潤いのある案件を探しに行ってます☆ …… ………… ………………  ……という、いつもはこの流れですが。  今回はいつもと違う〈案件〉話しをしようと思います。  コレは、僕にとって初めての〈おシゴト〉で、次の小説のネタにしようと思った最高の案件話しです。  この案件は、講演会に見に来てくださっている皆さんにだけ教えるんですからね〜。ここだけの話しですよ☆  では!皆さんの元へ送信したお手元にあるアプリのURLを開いてください。そうすれば……僕が 記録した案件を〈観る事〉ができますのでね。  それでは、楽しんでくださいね!行ってらっしゃーい♪
/16ページ

最初のコメントを投稿しよう!