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広くて寝心地のいい寝台に、コリーンはいつも一人で眠っている。
「コリーン、いるのか?」
寝台の真ん中がこんもりと膨れ上がっていた。
「コリーン……」
もぞもぞと塊が動く。
「ん? ヴィー?」
「なんだ、眠っていたのか?」
微笑みの仮面をつけて、優しくコリーンに話しかける。
寝台に腰を落とすと、ギシリと軋んでそこが沈む。
「ちょっと、疲れてしまって……」
「そうか。コリーンは公務も頑張っているからな」
心にもない言葉を並べていく。
とにかくコリーンは褒めておけばいい。そして調子にのったところで、こちらの思惑通りに動かそうとするのだが、彼女は聖なる力を使うことだけは頑なに拒む。
やはり、その力がないのではないかと疑いたくもなる。しかし、そんな素振りは見せてはならない。
こう見えてもコリーンは聖女なのだ。その聖女を、王城内にとどめておけというのが父王からの命令でもある。
「ちょっと話があるのだが、起きられるか?」
「んっ」
小さく返事をした彼女は、やっと身体を起こした。
癖のある赤茶の髪はぼさぼさとからみあっており、顔もどこか野暮ったい。
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