ミルクキャラメル ¥146

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「前みたいに三人でキャラメル舐めながら麻雀しようぜ、って誘ってみたけど、なんだか無理っぽい感じだったなぁ。俊也のお母さん、教育ママだから許してもらえないのかも。だけど、そんなに根詰めてたら心も身体も壊すよね……」  拓夢の心配が今まさに現実化しつつある、そう実感した。つかず離れずの距離で尾行していると、先程の強い感情は次第に鳴りをひそめ、心ここにあらずというような表情で歩いている。何かを迷っているのは明らかだった。つまり、このまま万引きを完遂するか、取り止めるかということだろう。彼の中の天使と悪魔が戦っている最中というわけだ。  こちらのスーパーは、万引き行為について容赦しない。後期高齢者だろうと、未成年だろうと、万引き犯を掴まえたら必ず警察を呼ぶことになっている。そんなことになったら俊也君の家は大騒ぎになるだろう。もし世間に知れ渡れば、ご両親に与える影響も大きいだろうし、何より俊也君自身が深く傷ついてしまう。ただでさえ心身共に疲労困憊の状態だろうに……。  そう考えたら私は居ても立っても居られなくなった。 お菓子売り場へ取って返し、俊也君がポケットに入れたのと同じキャラメルをピックアックし、すぐさまレジへ。顔馴染みのパートさんに会計してもらい、購入済みのシールも忘れずに貼ってもらう。
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