第3話

2/25
641人が本棚に入れています
本棚に追加
/149ページ
 ――ラインヴァルトさまを、信じる。彼の気持ちを、信じる。  そう決めてから、少しの時間が経って。私の心には少しずつだけれど、余裕ができ始めていた。  それはきっと、いいや、間違いなく。ラインヴァルトさまが、私に愛を与えてくださるからだろう。  毎日のように「好き」って言ってくださって、笑顔を見せてくださる。私は、それだけでとても幸せだった。  かといって、それだけで満足しているわけにはいかない。  私は、周囲からラインヴァルトさまに相応しいと、認められなくちゃならない。 (……頑張らなくちゃ)  自分自身にそう言い聞かせて、私は目の前に立つコルネリアさまを見据えた。  彼女の目に、私が映っている。ただその場で立ち尽くし、コルネリアさまを見据える私の姿が。 「……あなた、まだここに居座っているのね」  しばらくして、コルネリアさまは私にそう声をかけてこられた。  その言葉に宿る感情は、なんなのだろうか。純粋な嫌悪感とか、憎悪とか。恋敵に向ける感情とは、少し違うような気もする。優越感に浸っているのとも、違うような気がする。  焦りとか、焦燥感とか。そういう類の感情なのかもしれない。
/149ページ

最初のコメントを投稿しよう!