#02. First Encounter

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#02. First Encounter

スマートフォンの落とし主である久坂さんという男性との待ち合せ場所は、表参道にあるオシャレなカフェだった。 大通りに面したテラス席は開放感がある。 春の暖かな陽射しが心地良い。 初対面の人と会うにあたって、個室などの密室ではなく人目がある場所だったことに私は内心安堵していた。 電話で昨日少し話した限り、変な人ではなさそうだが、自衛のために警戒するに越したことはない。 テラス席に座り、落ち着かない気持ちでソワソワしなが待っていると、預かっているスマートフォンが着信音を奏でだす。 画面には昨日同様、電話番号のみが表示されていた。 タイミング的におそらく落とし主の久坂さんだろうと察しをつけた私はその着信を受ける。 「もしもし」 「香澄さんですか? もうすぐカフェに到着しそうなんですが、今どちらにいらっしゃいますか?」 「あ、私はもう着いていてテラス席に座っています」 「テラス席……ああ」 何かに気付いたような声がした次の瞬間に電話は切れ、代わりになんとなく視線を感じた私はそちらを振り向く。 そこにはスマートフォンを片手に持ったスラリと背の高い男性がちょうど大通りからテラス席へ近付いてくるところだった。 こちらを向いていたその男性と目が合う。 そのまま真っ直ぐに私のいる席へ歩みを進めてきた男性が目の前までやってきて驚いた。 ビックリするくらい容姿が整っていたからだ。 実際、男性は周囲にいる女性の視線を一身に集めており、皆がうっとりした表情になっている。 そんな見惚れるくらい端正な顔立ちに、洗練された雰囲気を纏う男性は、他の女性に目をくれることもなく、ただ私だけを見つめ口を開いた。 「香澄さん?」 その声は先程まで電話越しに耳にしていた低く落ち着いたものと同じだった。 つまり、この男性こそがスマートフォンの落とし主の久坂さんなのだろう。 彼の圧倒的な容姿に一瞬呆気に取られていた私は、名前を呼びかけられてハッとする。 慌てて肯定するため首を縦に振った。
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