飛行中にエンジンが止まった

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機体がふるえている。 飛行中に揺れるのは当たり前のことなのだが、いつもとは何だか揺れ方が違う。 揺れるというより、ふるえているのだ。 機体に不具合があるのだろうか。 コックピット内の計器を確認する。 どこにも異常は見られない。 副機長(コーパイ)にも聞いてみる。 「なんか、ふるえてないか?」 「機長(キャプテン)も感じますか。ふるえてますよね」 その時、警報が鳴った。 (PF)は叫ぶ。 「アイ ハヴ コントロール」 副機長(P M)が応える。 「ユー ハヴ コントロール」 誰が事態に対応するかを確認するために、このようにコールする。 計器は右エンジンの油圧と油量の低下を示していた。 オイル漏れだ…… オイルが無くなると、エンジンを円滑に回転させることができないばかりか冷却にも支障が出る。 案の定、油温がどんどん上昇していく。 このまま放置すれば、エンジンは炎上するだろう。 客室にシートベルト着用の指示を出す。 ポーン ポーン CAが客室内にアナウンスする。 「皆様にご案内いたします。ただいま、シートベルト着用サインが点灯しました。シートベルトは緩みのないよう、しっかりとお締めください。化粧室の使用はお控えください」
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