モテる男の彼女

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「林のことは役職者でも把握していて、何度か話し合われていたんだ。ただ……」 「はあ」 「どうやら社長が、親戚の人から頼みこまれて雇うことになったらしい。しかも仕事はできないくせに、何かと上手く立ち回っていて、対処の仕方に悩んでいた。蒼空は、吉瀬さんも被害に遭っているから気が気じゃなかったんだが、あからさまに動くと余計に吉瀬さんが被害を受けるかもしれないと、様子を見ていたんだ。もちろん、いつでも動けるように準備はしていたと思う」 「……」  私の知らないところで、複雑な事情があったのだと知る。以前から、林先輩がなぜこの会社に入社できたのか不思議だったのだ。まだ新しいこの会社は、若手だが即戦力が集まっている印象で、私のように新卒で入社した子もいるが、みんな何かしらのスキルは高い。だから、林先輩が仕事を振ってきても、断って面倒なことになるよりは、代わりにする方が楽だと思っていたのだ。 「この週末、蒼空と何か進展したんだろう?」 「はあ、まあ」 「だろうな。蒼空が一気に動き出した」 「そうなんですね」
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