モテる男の彼女

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「ああ、でも俺には気になっていることがあって」 「⁇」 「林は、まあやり方を見ていても、後ろ盾があるからなのかもしれないが、あまり賢いとは思えない。今回、林に二人のことを話して、噂を流させた黒幕がいると思う。蒼空もきっと気づいているはずだ。だから、当分の間は気をつけてくれ」 「はい」  蒼空さんに、あからさまに近づいていた林先輩ではない人物。本当にそんな人がいるのなら、相当な切れ者なのだろう。今まで、林先輩を隠れ蓑にして、蒼空さんのことを虎視眈々と狙っていたのだろうか。無意識に身体が『ブルッ』と震えた。  その人物は、すでに私が蒼空さんと歩いていたことも把握している。週末に目撃できるということは、金曜の夜の時点で見られていたのかもしれない。林先輩は、仕事を押しつけて合コンに行っていた。 ――コンコン  会議室にノックの音が響いた。 「はい」    轟課長の返事が聞こえたのか、『ガチャッ』と扉が開いた。なぜか鋭い視線の蒼空さんが、こちらへ向かって一直線にやってくる。そして、会社の会議室にもかかわらず『ガバッ』と音がしそうなほどの勢いで、私は抱きしめられたのだ。  
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