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 ハンスは大友に連絡を入れた後、自分なりの情報網をフルに使い情報収集に努めた。一番確実なのはなのだが、生憎つかまらない。奴が行きそうな場所をいくつか回ったが空振りだった。  繁華街から出て、通りに停めた車に乗り込むハンス。車をスタートさせてしばらくするとバックミラーに視線を向けた。繁華街に入る前から同じ車につけられている事に気づいていた。スピードを上げると同じように加速させ後を追って来る。やがて交差点だ。追って来る車は二車線道路を一気にスピードを上げてハンスの運転する車の横に並んだ。運転手がハンスに顔を向けた。ゴーストフェイスの仮面。次の瞬間、おもいきりハンスの車体めがけサイドからぶつけて来た。 「なるほど、そういうことか!」  ハンスはハンドルを切りぶつけ返す。周囲の車を巻き込みそうになりながら派手なカーチェイスを続ける二台の車輛、業を煮やしたハンスはダッシュボードから改造を施した特殊オートマチックの銃を取り出した。が、ハンスより先に発砲して来たのは相手のゴーストフェイスだ。  ハンスの助手席の窓が飴細工のように粉々に割れる。ハンドルを操りながら撃ち返すハンス。派手なカーチェイスに街中の通行人たちが呆気にとられて立ち止まる。誰かが通報したのだろう、街中で発砲しながらのカーチェイスだ。直ぐに〈キルバーン・シティ〉の各区画方面から独特なサイレンを流しながら国営警察の交通課と鎮圧ロボットの部隊を乗せた大型車輛がやって来た。  四方から囲まれたらやっかいだ、ハンスはそう思いゴーストフェイスへの銃撃を止め、無視するかのようにスピードを更に上げ相手を振り切りにかかった。正面の交差点からちょうど国営警察交通課の車輛が飛び出して来て視界を遮るも、ハンスはギリギリハンドルを捌いて車輛を交わした。これで奴の車は振り切れた、と後方を見て安堵しながら正面を向いたハンスだったが、目の前に道路を逆走して来た車が飛び込んで来た。  物凄い音がビル街に響き渡る。
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