EPISODE2.5 Secret service

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それから半年、ディアンと行動する事は多くなった。 私の執事らしいのだけど、どちらかと言えば覚えているのは家庭教師の様な一面が多い。 「羽菜お嬢様、前回と今回のテストの差です。ご査収ください」 「うぇ、どうにも数学は苦手よ」 「苦手ならば克服いたしましょう、分からない所があればすぐさま補佐いたします」 ずっとこんな感じだったことを覚えている。 予め搭載されたデータを用いた問題制作と、それでいて理路整然と教えてくれるから分かりやすさはあった。 「ねぇディアン。テストでいい点を取ることってそんなに大事?」 「大事です、未喜渡様はいずれ羽菜様に後継になって欲しいのですから」 「私はやだなぁ、ずっと勉強漬けなんて」 でもその代わり、今のアンドロイドと違って融通は効かなかった。 初期型故に会話を分析し対話に活かす能力には乏しく、話していても最初の頃はつまらなかった。 「お嬢様、今晩は寝る前になにか読みますか?」 「ううん、いい。今日はもうすぐ寝たい」 「畏まりました、では何かあればお呼びください」 「いいよぉ、ディアンも寝なよ」 「私に寝るという機能はないので、スリープモードなら存在しますが」 会話のすり合わせもだいぶ大変だった。 鬱陶しいと感じたことも多かった。 だけど彼のことを身近に感じたのはあの日のこと。
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