EPISODE1 藍野と結乃

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冷蔵庫のディスプレイを確認すればそこには区分けされた野菜の保存期間と、おおよその賞味期限が近い順に並んでる。 とりあえず期限が近いのから使うとして、そうなるとレタスとトマトにクルトンとシーザードレッシングを混ぜたサラダ、それにカップスープとトーストくらいが良いでしょう。 「晩御飯用に鶏肉が欲しいですね。後でスーパーに注文しておかないと」 最近は何処でもネット注文で届けてくれますし、時間だけ指定しておけばいいでしょう。 水と共に入れたカップスープの素を溶かしてカップウォーマーにセット。 トースターにパンをセットし、レタスを水に晒した後に千切る。 どこまで便利になろうともやっぱり調理は地味なものです。 そのままザルで軽く水を切ったらトマトを櫛切りして見栄えよく飾り付ける。 後はクルトンとドレッシングをお好みでかければこれだけで美味しい朝食です。 「マスター、ご飯できましたので早くあがってくださいよー」 「分かった、分かったから藍野はそこで待ってて」 むぅ、こうなると暇です。 やる事全てやりきって待ってるだけの時間ほど退屈なものはありません。 仕方ない、テレビでも見ましょうか。 「グッドモーニング皆様、本日のニュースはこちらとなっております。まずはアンドロイドが新たな災害派遣に向かったとのことでーーー」 アナウンサー型のアンドロイドは手元の資料や台本を淡々と読み上げ、そこに微かな乱れも淀みも存在しない。 訓練された人間でもそこに行きつくまでに研鑽はあるのでしょう。 ですが彼女達ならそれが最初からできてしまうし疑問にも思わないでしょう。 何せ私たちはそのために生み出された存在なのですから。
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