愛してる*

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 ――月曜日の朝。どんなに気まずくても顔を合わせないといけないのはなかなかに辛い。意を決して扉をノックして中へ入る。 「おはようございます」 「あぁ、おはよう」  気まずくて手にしているタブレットに視線を落とした。 「昨日は満喫したか?」 「はい?」 「全く、どうして惚れたやつの恋人と鉢合わせしないといけないんだ」 「その節はご迷惑をおかけしまして」 「本当に迷惑を被ったよ。俺と寝たことがあることは黙っておいてやったからな」 「……お気遣いありがとうございます」 「そんな事言ったら刺されそうだったからな」 「ハハハ」  思わず乾いた笑いがでてしまう。 「川上くんにさ、俺のほうが先に出会ったのに掻っ攫われたなって言ったら」 「はい」 「俺は生まれたときから一緒なんで先に出会って好きになったのは俺ですってマウント取られたぞ」 「そう……ですか」 「にやけるな」 「すみません」 「俺の入り込む余地はないってわけだ」 「そうですね」 「こんなにも堂々と言われると清々しいな」 「そうですかね」 「はぁ、川上くんに会うの嫌だなー。彼の俺を見る目怖いし」 「そんな事ないんじゃないですか?」 「いや、あるね。はぁー、嫌だ嫌だ」  想像して思わず笑ってしまう。 「お前の事は諦めるが、別れたらいつでも俺のところへ来ていいぞ」 「いえ、結構です。副社長、今日の予定ですが……寝たフリしないでください」  タブレットの予定表にある安西建築事務所打合せの文字を見て頬が緩む。今週もゆきに会える。緩む頬を引き締めて、寝たフリをする副社長を起こしにかかった。
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