ゆきがっせん、ゆきがっせん。

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 ***  それで、どうなったかって?  ……本当に死んじゃったんだよ、その女の子。その日の夜、行方不明になってさ。三日後、駐車場で、雪山に埋もれて死んでたわけ。  奇妙なのは、雪山の前に女の子の足跡が残っていたこと。  彼女が何故か真冬の屋外で全裸だったこと。  近所の防犯カメラを見るに――裸で、自分で雪の中に歩いてきて、わざと埋もれて凍死したとしか思えなかったってことだ。  流石に俺達は怖くなった。藤之助くんには人を呪う力があったんだろうか。あるいは、両親がそういうことをしたんじゃないかってね。  真相は結局、わからずじまい。  彼の一家は半年後に引っ越していったので、その後どうなったかは知らない。俺達もそのすぐあとに今のマンションに引っ越しちゃったしな。  まあ、何が言いたいのかっていうと。世の中には、雪を操る恐ろしい魔法使いとか、そういうやつがいるかもしれないってこと。あるいは、言葉だけで人を殺せる能力者か。大人達は誰も信じてなかったけど、俺は今でも――藤之助が女の子を殺したと疑ってないわけで、さ。  ……は?  え、待て。ちょっと待てエイくん。今なんて言ったんだ?お前のクラスに、え?  転校してきた男の子の名前が、高宿藤之助、って。  なあ、なんかの冗談、だろ?
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