短夜長く

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 いつもはただ適当に店内を歩いて、気になるものがあったら手に取るくらいだ。しかし、そんなこんなをしているといつも同じような場所に辿り着いているものだが。 「まだ高いな」  涼は一冊はやっている本を取り出して、裏を見る。四〇〇円とあった。最近出たばっかりなので、これ以上下がっていることなんてそうそうないだろう。 「これなら最新話まで持ってるよ」 「ほんと? 貸して」  続きが早く読みたくて、新品を買っていたのだ。何作かはそんな感じで新作を買っているものがある。 「何巻から?」 「十巻ちょっとから」 「結構じゃん。重いしどうすんの?」 「私なら余裕で運べるよ。そもそも、君の家で読めばいい」  幸いにも、僕は一人っ子で親は共働きだから問題はない。なんの問題だとなるだろうが、まだ親に彼女できたと言うのは少し恥ずかしいのだ。 「まあ、いいけど」 「やった」  次はライトノベルの方に行ってみる。 「ファンタジーとかってことは、ライトノベルも読む?」 「読まないことはないけど、ライトノベルの方だと戦記系が多いかな。ファンタジーはもう本当に王道系の冒険のやつしか読まないから」 「あれは? 狂犬病のやつ」
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