たとえば、ポケットの中のゴミみたいに

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たとえば、ポケットの中のゴミみたいに

「部のみんなには、絶対秘密にしてね」 「もちろん。……友だちの秘密は絶対守るよ」 そう答えたあの日から、俺はずっと、どうしようもなくイタい横恋慕ヤローのまま。 ※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ ポケットの中で、スマホが震えた。 手にとって見たら、高校時代の同級生からラインがきている。 『平山(ひらやま)くん、今度一緒に焼肉行かない?』 古川(ふるかわ)のヤツめ。 さてはまた、俺にグチるつもりだな。 俺はお前専用の相談窓口じゃねえんだぞ。 なんて思いつつも、指は勝手に“OK”のスタンプを押していた。 ……こんなみえみえの誘いにのるあたり、俺もたいがいだよな。 金曜日の夜、俺は駅の改札前で古川を待っていた。 改札に押し寄せる人波の中、古川の姿だけを、俺はいとも簡単に見つけだす。 改札を出て、俺を見つけた古川は、ニコッと屈託のない笑みを浮かべ、こちらに駆け寄ってきた。 「平山くん、お待たせ!」 「おう、待たされた」 「えっ、そんなに……?」 「なんてな、冗談だよ」 「ひどっ、一瞬本気にしたじゃん!」 そのふくれっ面が見たかった、なんて言ったら確実に引かれるから、俺はただヘラっと笑う。 「まあまあ、とりあえず店行こうぜ」 「なによそれーっ」 ……あー、やっぱめちゃくちゃ可愛いな! なんて不覚にも思ってしまうのは、たぶん、惚れた弱味ってヤツなんだろう。
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