はじめての家出

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───────────── ─────………… 「お母さーん、明日リカと遊びに行くからお金ちょうだい」 「あんたねぇ、勉強しないならバイトくらいしなさいよ」 「えー。だって、うちの学校バイト禁止だし。お願ーい」 高校3年の夏休み。冷房のきいたリビングのソファに寝転がりながら、母に向かって手を伸ばす。 勉強は嫌いだからやらない。そもそも進学校じゃないし進学するつもりもなかったし。 おこづかい稼ぎで始めたアルバイトは、面倒になってやめた。 「もう。お姉ちゃんは大学受験凄い頑張ってたのよ?東京でバリバリ働いてるんだから」 「だから私、進学するつもりないし……就職するってば。学校で資格も取ったしさー」 ケラケラと笑ってVサインを見せる私に、母が呆れたよう吐く。 丁度その時──、家の鍵が開く音がするから「お父さん帰ってきたのかしら?早いわねぇ」と母が玄関へ足を向けた。 うぇー最悪。お父さん帰ってきたらまた喧嘩になりそう。なんて、慌てて立ち上がって自分の部屋へ戻ろうとした。 「………佐江、その子どうしたの!?」 母の驚いた声に振り返ると、玄関には家を出ていった筈の姉が小さな子供を抱えて立っていた。
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