第0話

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 そのリーゼはというと、史上最年少のソロ冒険者として大成し注目の的となっている。  物理攻撃が効かないはずの魔物を拳で沈めたり、魔法を使わず水の上を走って移動したり、うっかり大地に裂け目をつくったり。うちの妹天才か?天才だ!  最近では若手冒険者を中心にリーゼに教えを乞う光景が見受けられ、しかも驚くことにリーゼ流冒険講座のおかげで結果的に冒険者の死亡率が下がったと聞いてお姉ちゃんは鼻が高い。  多忙だけど、リーゼ第一な私は定時で上がって冒険帰りのリーゼと共に仲良く帰宅するのが日課となっている。  むしろ冒険者業で大成功したリーゼの方が忙しく、なかなか会えない日もあったり。お姉ちゃん寂しいよ……  そんなときはこちら、異世界技術と魔法を組み合わせた最新モデルのカメラを駆使して撮影したブロマイドを取り出しましょう。写真の中で屈託なく笑う可愛い妹が心の栄養素となって私を励ましてくれます。はぁ相変わらずうちのリーゼは可愛い。  今日も仲良く家に帰ったら報告会。  淡々とした業務連絡とは違って他愛ないやりとりのそれは日々の疲れを癒す薬のよう。  今日はこんなことがあったよーって言う私にリーゼが楽しそうに笑い、逆にこんなことがあってねーと無邪気に話すリーゼに私が相槌を打つ。  こんな何気ない日々が愛おしい。  しかしある日、そんな日常に亀裂が入った。
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