7人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
プロローグ ~死にたがり少女のオープニング~
あたし、華原音乃は、11階のマンションの屋上で、このにっくき世界を見下ろしていた。
小さく見えるスクランブル交差点。その上の歩道橋。
そこにうじのように移動する人間たち。
そのなかには、毎日あたしを殴って、悪口を言い、あざ笑い、川に突き落としたあいつらのようなのもいるんだろう。
でもそんなうんざりする世界とも今日でおさらばだ。
ビルの端から一歩踏み出す。
もういじめられて辛い日々もすべて終わる。
そう。
あたしは今から死ぬ。
その一歩を今踏み出す。
「ふーん」
その崇高なる一歩に、お邪魔虫が入った。
最初のコメントを投稿しよう!