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「今度は私が追う番ね」
「…………へ~。元・生徒会長の女が素行不良だった男を追いかけるんだ?」
ニヤニヤとする玲央。
「何を言っているの?」
「え?だって今かいちょーがそう言ったんじゃん」
「これは私、如月六花と貴方、楠玲央の話をしているの。会長とか不良とか男とか女とかそんなことは関係ない」
「……だな!」
出会った時は生徒会長と不良少年だった私達。
本来交わることのなかった私達が、校長からの指示によってお互いを認識するようになった。
最初の頃は、これは仕事。と線引きをしていたのに。
いつの日からかその線は緩んできて。
気が付いたら彼は私の陣地に足を踏み入れてきていた。
今まで誰も踏み入れてこなかった私の陣地。
だから私も彼の陣地に足を踏み入れようとしたら何故か透明なガラスが貼ってあって。
そんなの不公平だ。そう言って私がガラスを叩いたら、彼はガラスを壊してくれた。
ガラスの破片を拾っていくうちに線まで拾って捨ててくれた。
一人じゃ持てない重い重い線を、彼はいとも軽く持ち上げて。
「それはそうと、なんでブレザー脱いじゃったの?」
私が教室から戻ると、ネクタイもブレザーも取り外され、いつものパーカー姿に戻っていた。
「そりゃ、やっぱ堅苦しいなって思って」
「じゃあ髪色も戻すの?」
「髪はせっかくかいちょー……六花とお揃いだし、しばらくはこのままにしようかなって」
「そっか。ま、なんでもいいよ。玲央なら」
「っ…………か、かいちょー……」
「なに?」
「キスしていい……?」
「……路上だから嫌」
「……うぐぐっ……分かった。じゃあ家でする」
「…………ぅん」
線引きはなくなっても、どこまで交わっていいのか。
恋の駆け引きは難しい。
ー会長と不良ー 完
長らくご愛読ありがとうございました!次ページはおまけです($・・)
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