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最近、目を覚ましてみると僕は、とある少女のもとにいた。
この間までは薬屋の金庫にいたはずなのだが、いつのまにかこの子のもとに渡ってきたらしい。
決して裕福そうにはみえず、古い服を繋ぎ合わせた衣服を纏うこの子の名前はリサだということがわかった。彼女が外出のときに羽織る上着のポケットの中に入れられているときにわかった名前だ。
年は十二にも満たないようだが、リサは果物屋で働いている。
母の知り合いの店らしく、リサは愛らしい声で露店で販売を手伝っている。あまり多くはないが給金も貰えているらしく、それで病に臥せりがちな母親と幼い妹の暮らす家を支えているらしい。
リサの父はどうやら亡くなっているらしいことはリサと母親の会話でわかっている。
隣国が攻めてきたのはもう何年前のことだっただろうか。あの戦争にリサの父もいたんだろうか。はたまた緑竜が来襲したあのときのことだろうか。
病気や事故もありえるかもしれない。いずれにしてもこんな幼い子が働かなければならないこの国の王は何をしているんだろう。
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