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あるとき、私は木の枝に舞い降りた雪だった。
枝から病室の窓が見える。
入院している患者さんの一人が、ぽつんと、窓の外を見つめている。
私と目が合った……ような気がした。
明くる日も、そのまた明くる日も、その患者さんは窓の外を見つめていた。
この患者さん、いつか病室から出る日が来るのだろうか。
私は待ち続けていた。
春になった。
患者さんのことが気になったけど、私は解けて水になり、木の枝から落ちた。
その患者さんがどうなったのか、私にはもう、分からない……
* * * * * *
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