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「…………お父様が引く事はない、ですわね……プライドの塊のような方でしたし、王族として生まれたからには野望のようなモノも持っていたと思います」
今思えば、引き際は沢山与えられていたのだと思う。でもそれはお父様にとっては無理な話だったのよね……愚かな王に振り回されるのは民だと言うのに。
「そうだな。そういうのは一生捨てられないものだろうな……人は簡単には変われない。これからどうしていくのか、陛下も注視している。そのリンデンバーグから嫁いできた君が、我が国でどのように過ごしているのかを気にしておられるのだろう。私が妻に迎えたいと言ったのもあって、興味があるのかもしれないけどね」
私は思わず顔が赤くなってしまう……テオ様が私を妻にしたいと陛下に進言してくれた話は聞いていたけど、出会った時からの運命を感じて顔に熱が集まってくる。
「私は幸運だったのです。テオ様が私を見つけてくださったから……」
「ロザリー、それは私の言葉だよ。君に出会えた私が幸運だったんだ」
膝に乗せた私の肩を抱いて、額にキスをくれる――
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