第二章 鎮魂曲

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 やがてユノー一人がその場に残された。  すると、未だ座したままのシーリアスは僅かに笑いながら言った。 「……戦の守護者よ、我に宿り賜え。祈りの言葉だ。気休めだがな」  驚いたようにそちらを見つめるユノー。  この人は、大司祭の養子なのだ。  祈りの言葉を知っていたとしても不思議ではない。  だが、肝心の自分がここに呼ばれた意味が、まだ分からない。 「……あの、失礼ながら、何故自分をこの場に?」  ようやく我に返ったユノーは、戸惑いを隠そうともせずに言う。  恐らくそれを予想していたのだろう。  シーリアスは、先程までの厳しい表情をおさめて答えた。 「一つ、直接確認したいことがあった」  言いながら立ち上がり、シーリアスはユノーに向かい歩み寄る。  驚いて身を引くユノーをよそに、シーリアスはその真正面に腰を降ろしおもむろに口を開く。 「行軍中、貴官はこの戦で死んで家名を復す、と言うようなことを口にしていたが」  その言葉に、ユノーはうなずいた。  ろくに実戦訓練を受けていない彼が汚名をそそぐ方法はそれ以外に考えられないし、上も彼と同じ事を考えているのだろう。
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