家も本人も無害そうという理由で、王子妃候補になりました

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 騎士のように鍛え上げられた体躯。  艶やかな黒髪に、鼻筋の通った凛々しい顔立ち。  宰相様っ。  透明度の高い氷の如き、その澄んだ瞳で見下されたいですっ。  などと祈るように、アルベルトを見つめるマレーヌの横から、ちょっと緊張した面持ちで父、ユイブルグ公爵が訊いた。 「ご報告とは?」  いつ罠にかかって反逆罪で投獄されるかもわからない貴族社会。  アルベルトの母親は祖母が王族の出、隠居したアルベルトの父も王族の出。  父方の祖母は強い力を持つ元神殿の巫女。  本人の実力と王家からの信頼。  そして、強力なバック。  今のアルベルトはまさに怖いものなしだった。  この間も、王家にとって目障りな最大勢力の大臣を葬ったばかりだ。  そんな宰相様が、こんな我が家に、一体、なんの話がっ、と今更ながらにユイブルグ家の人々は困惑する。
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