07.盗んだバイクで

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07.盗んだバイクで

 拓真と陽菜は、そんなカップルのそばで『夜の校舎のガラス窓を壊すコース』の案内を眺めている。 「こちらも人気のコースですよ。中学校の窓ガラスを割ってしまいたいって思っても、実際にやったことある人はほとんどいませんからね。言ってみれば破壊願望を満たすコースです」  中山が愛想良く二人に告げる。 「こっちの『盗んだバイクで走り出すコース』も面白そう」  陽菜が隣に掲げられたコースを指さす。 「どっちも面白そうでなかなか選べないよね」  拓真がそういうと、中山がニコニコとした顔で告げる。 「二つのコースのミックスもできますよ。校舎の窓を壊してまわったあとに盗んだバイクで走り出すんです。警察の追跡もオプションでつけることができますから。もちろん、壁に映す白バイとパトカーですが、大きく映し出すからけっこう迫力ありますよ」 「面白そう!」  陽菜が思わずそんな声を上げる。 「じゃあ、今度遊びに来たときはそうしようかな」  そう言った拓真とうなずく陽菜に向かって、中山が告げる。 「またゆっくり考えてご利用くださいね」 「わかりました。ありがとうございました」  二人はその店をあとにする。外は真っ暗な夜。輝くような照明で照らされた店の外に掲げられた看板には次のように書いてある。 「ストレスを抱えた大人のみなさん! 中学生に戻ってストレス発散してみませんか? 簡単着脱の学生服やセーラー服で、すぐに中学生に戻れるコスプレ型アトラクション。30分3000円から楽しめる各種コースあり!」。 (おわり)
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