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天からの贈り物
十八歳の冬休み、天からの贈り物がわたしのお腹の中に宿った。
「おめでとうございます。妊娠三週目ですね」
おめでとうございますと笑顔を見せてくれる産科医の先生。わたしは一緒に来てくれた彼の手をぎゅっと握りしめて。
「先生、わたしまだ実感がわかなくて・・・」
金倉医師はわたしのお腹に視線を向けて、それからわたしと彼を交互に見つめて優しく言う。
「徐々に実感しますよ。羽田くんよかったね」
十歳年上の彼は心理精神科医の医師で、昔からの顔馴染みで大切な人に変わった。わたしとの交際を機に医者をやめた。
「僕は嬉しいですが・・・」
羽田さんの視線がわたしへと向けられている。彼にはわたしの過去をすべて話しているから、わたしの震える手を握りしめるのだろう。
「わたしには母親になれる自信はありません」
天は意地悪ではないか
望む夫婦やパートナーの元へ送ればいいのに・・
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