世界明日行き列車

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「……何、だよ、これ」  太縄を結んでぶら下げた、つまり首を括るために俺が用意した「それ」の穴から見えたのは、見飽きた部屋の景色ではなく、列車の景色と老人だった。  俺はズボンのポケットの中に手を突っ込んでみると、そこには錆び付いた鍵が入っていた。  俺は穴に鍵を投げ入れた。  列車の景色は消え、ただ穴の中を通過して鍵はことん、と落ちた。  俺の部屋は虚しく薄暗かった。  明日なんて、無かった。
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