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ホームルームが終わり、いつもと変わらない下校風景――。
竹内由奈は、いつも通り幼馴染みの北川朱里と下校する。だが、由奈の元気がない。
「ゆーちゃんどうしたの?元気ないね」
「えっ、あ、うん」
「何かあった?」
「明日でみーくんとお別れだから……」
「そっか、みーくん受験したんだったね」
「うん……」
「でも、引っ越しするわけではないし、また会えるよ」
「そうだけど……」
みーくんこと斉藤瑞希は、スポーツ万能で頭もよく、さらには六年生とは思えない整った容姿で学校中の憧れの的なのだ。
由奈にとっては憧れでもあり、幼稚園から一緒で幼馴染みでもあり、長年の片想いの相手だ。
「明日は、告白する子が多いかもね」
「だよね……」
「ゆーちゃんも告白したらいいじゃん」
「……」
由奈もここ最近は、そのことで悩んでいた。告白して想いを伝えたい気持ちと、友達という今の関係を壊したくない気持ちが交差する。
学校から十分ほどの距離は、話をしていたら一瞬だ。いつもの場所でふたりは別れる。
「ゆーちゃん、また明日ね」
「うん。朱里ちゃんまた明日。バイバーイ」
いつもと変わらない日常だが、新しい一歩へのカウントダウン。
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