File 01:トイレのあの子

15/20
12人が本棚に入れています
本棚に追加
/80ページ
「トイレのあの子はな、待っているんだ」 俺の心を読んだように、1人が噂の話を始める。 「誰を?」 「誰かを、だ。誰でもいいらしい」 なんだそれ。 「それで、どうなるんだ?」 引き込まれて閉じ込められるとかだろうか。 それか、出てきた奴に襲われるとか? ありきたりな話を考えていると、予想外の答えに裏切られた。 「知らない」 「……は?」 「誰も知らないんだよ、何が起こるのかを」 だからこそ、千木良は調べたいと思ったんじゃないか?と、そいつは言った。 それに千秋が頷いて答える。 「先生たちが何か話してるのを誰かが聞いた話だからさ、 詳しい事は誰も知らないんだよ」 なんともあやふやな噂だった。 それを自力で調べるよりは、直接先生に聞いたらいいんじゃないだろうか。 俺がそう提案すると、千秋は早速、大浴場を監視していた先生に尋ねに向かった。 2a11f197-98a3-4672-ae1d-b23f4e38e131
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!