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赤い水の柱に混じって、炎の乱舞がステージを彩る。
「すっごい、カッコ良かったね!」
確かに、思わず息を呑んでしまった。水と炎を組み合わせることで、曲の雰囲気をこんなにも再現できるとは、驚きだった……。
他の観客と同様に大きく拍手を送ると、再び周囲が暗い静寂に包まれ、雰囲気がリセットされる。
そして次の曲が始まった。今度は清廉でゆったりとした、誰もが知る外国の曲。先ほどとは大きく変わって、青と白のライトにレーザー演出が加わる。
打ち上がる青い噴水と光の筋が夜空で交差する。幻想的なオーケストラもそこに加わって、まるで海の中か、水辺にいるような錯覚さえ覚えた。
「綺麗だね……」
おれの手に自分の手を重ね、ヒアイが呟いた。沈黙を答えにして光のショーを眺めていると、コツンとおれの肩に頭が乗せられる。
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