前節

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再編劇フルロードの女、相川夏美のコンプレックスと性ーサガ― 作者前節 本作品の母体となる『ヒートフルーツ』第1部は、基軸ストーリーより1年前の東京埼玉都県境再編劇の勃発から顛末までをベースとして描いた群像物語ですが、基本ベクトルは2本になります。 相馬豹一との出会いによって都県境の既存フレームに爆弾をぶち込んでいく本郷麻衣と、フツーの女子高校生として進学後、陸上部での部活動、南部テツヤとの恋と友情に体ごと邁進する横田競子…。 この相反する発熱の果実たちが互いに引き寄せあっていく過程と、ひと夏の再編成劇が並行して、ケイコが最終的に南玉連合に加わるまでの紆余曲折を描いた1000ページ弱ということになります。 ... この『ヒートフルーツ』本編前半部全編を通じ、ほとんどのストーリー過程で主要軸の一角をなしてきた存在が、相川夏美です。 彼女はこの時点で、南玉連合の総長補佐であり、ケイコの属する滝ヶ丘高校陸上部の元主将であり、さらに、南玉連合とは表面上敵対関係にある墨東会幹部の南部聖一とひそかに交際する仲という、極めて多極的ファクターを擁しておりまして…。 さらに部の後輩ケイコとのちに恋仲になる彼氏が、交際相手である南部聖一の、稀代の女好きという弟・南部テツヤ、そして彗星のごとく都県境に登場する本郷麻衣からも仇敵としてとらえられるに至り、夏美はこの夏の再編劇では、常に中心軸に身を置いていた人物です。 … 夏美の内面の本質が持つ性、そこから派生するコンプレックスが交錯することによって発信される”その何か”は決して弱くなく、周囲に及ぼすその影響度とそこから生じる反動によって、一見地味目な彼女を常にセンターに引き寄せてしまうのかも知れません。 本作では、この相川夏美の猛る女たる所以とその知られざる過去のターニングポイントという切り口での以下、全3編の構成になります。 第1章/萌芽編 相川夏美の抱えた性とコンプレックスの正体、そしてその原点 第2話/発熱編 紅丸ショック、そして南玉連合へ~名策士誕生す 第3話/覚醒編 南部聖一との知られざる出会い、そしてその愛と誓い ヒダカ
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