Chapter3 Smoke on the water

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第24話 Strange youth ~イカれた少年少女~  「機体の性能に頼り過ぎだな!」 「エムル!お前も、焦りが!」 猛攻を回避する間隙を縫い、ビームカービンで応戦する。 頭部、バーニア、胴体!これは当たった! 「直線的な攻撃!」 腕を頭・バーニア・胴の順にかざし、シールドでいとも容易くいなす。 だめだ、全く決め手にならない!  「ウォルノ、ジェゴ隊と着艦ネ!艦上で敵の牽制中!」 「チョウ、ありがとう! ヒヅル、フィリス!引き上げて!艦長命令です! 副長!敵の最新機を牽制はできないか!」 「ワシらが下手に今撃てば、それこそヒヅル達を落としかねん。 何より群がるハエ共を叩き落とすことで、ワグテールやガンディード含め、火器類は精一杯だ」 「彼ら自身に、賭けるしかないのか」 ミランダが叩きつける握りこぶしも虚しく、カンナギはどんどんと高度を上げ始める。  山を越えたら海だ……エネルギーが切れる前にエムルたちを! 「着艦したいのに……しつこい!」 「しぶとい猫……嫌い」 近・中距離メインのイゾルディアに、マドゥ=クシャのクナイでは相性が悪い。 「山の先、海辺にはまだ敵機がいるはず。 蛇腹剣の斜線上に敵を挟めば、あの乱暴な姫様も無闇には!」 滑空して山を降り、涼やかな海辺に向かう。 即座にイゾルディアとの間に、すれ違いざまに腕を切り落としたゴブ・オーグを挟む。 浜辺まで追ってくる血濡れの姫。 しかし、彼女が次にとった行動は…… 「邪魔」 味方が射線上にいるにも関わらず、蛇腹剣を平気で振るう。 フィリスはすんで回避するが、ゴブ・オーグは瞬時に細切れになった。 鋼鉄の姫君は、スカートが血で濡れることも、砂がつくこともお構いなしだ。 このパイロット……おかしい!通信を! どんな思考したバカが乗ってるのよ! communication by Mado=Qusha フィリスが、イゾルディアに映像通信をする。 「!!!しょう…じょ!?」 血のような赤黒い長髪。半分隠れた顔。 首から下げた金色の円筒状のアクセサリ。 表情のない人形のような少女がいた。 「自分の味方も殺してなんとも思わないの!?」 「敵を殺れば、それでいい」 こいつ……敵味方の区別も、感情もないの!? パイロットの不気味さに、フィリスは隙を突かれた。 「ッッッッッ!しまった!」 遂に蛇腹の鋭い刃が、マドゥ=クシャの左肩シールドと、足の脛骨部を切り裂く。 その様子は、虐待される猫の如くだ。  「フィリス!うわッ!!」 「よそ見とは余裕だな!」 ヒヅルの一瞬のスキに、距離を詰めたメドラードがタックルしてきた。 体勢を崩し、高度が落ちる。 すかさず、バーロック3機が突撃機銃で追い打ちをかけてくる。 「貴様ら。余計なことをするな」 「我々も掃討命令を受けています。不本意とは思いますが」 「勝手にしろ。俺が仕留めることに……」 メドラードが二振りの剣を構える。 「代わりはないがなァァ!!」 「来る!」 すかさずヒヅルは膝のビームセイバーを抜き、鍔迫り合う。 ピピピッ! ピピピッ! communication by Medrard 「メドラード?エムルの機体から映像通信か!」 反射的に即応すると同時に、あの日眼にした銀髪の美青年が映し出される。 「相変わらず弱い!これで特別扱いを受けた!」 「なんのために!」 「お父様から認められるために!俺は!お前を!!討つ!!!」 話が通じない! バーニアをふかして、刀を押し切る! 即座にまっすぐ上昇して、バーロック2機の機銃を回避行動をとる。 ……がその前に、真下からメドラードの飛び蹴りを食らってしまう。 「逃すと思ったか!!」 吹っ飛ぶ間に機銃を一発、ビームカービンと腰側面のバーニアに食らって破壊される。 手に持ったセイバーも吹き飛ばされ、小さく海をジュゥと熱して沈んでしまった。 「何が”ふくしゅう”だ、馬鹿馬鹿しい! 沈め……ん?」 ヒヅルの首に下がる”それ”をエムルは最近見たような気がした。 まぁいい。死にゆく男のことなんか! エムルは二振りの刀を背中合わせで接続する。 二刀流ではない、あれは元々大きな一本のバスターソードだッッ! エムルが目の前まで接近し、バスターソードを振り下ろそうとする。 「終わりだあーーーーッッッ!!」 「ダメだ!!!このままでは……やられる!」
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