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現実は小説より奇なりって、使い古された言い回しがあるよな?
実際に小説家が創作物として発表したなら、『嘘くさい』とか、『リアリティーが無い』とか、『マンガ的想像力』とか言われて評論家から総スカンを食っちゃうような話。
でも、そんな嘘くさい出来事が、むしろ現実の世界には屡々あるわけで。
たとえば、こんな話。
ベトナム戦争に従軍していたある米兵が、戦闘中に銃弾で睾丸を撃ち抜かれた。
男は生殖能力を失い、父親になるという夢を奪われて人生に絶望した。
だけど、実はそのとき、米兵の背後に立っていたベトナム人女性の腹部に、睾丸を貫通した弾丸が命中していたんだと。その後、女性は身に覚えの無い子供を妊娠。米兵の知らない間に、その子供を産んでいた。
そんな、ギャグ漫画みたいな逸話が。
こんな話もある。
日本の犯罪史に残るようなある大事件の犯人と、別の超有名事件の犯人。さらにはビジネス界隈では知らぬ者はいない、世界的企業の有名創業者。
人生で遭遇する確率なんてほとんど0%に近い、その3人の女性遍歴を探ってみると、ある共通の女性に行き当たるのだという。
それぞれ別のアプローチで歴史に名前が残ってしまった男たちが、偶然、たまたま同じ女性と付き合っていたのだ。
ちなみにその女性は何の変哲もないフツーの一般女性。
その女が、格別に犯罪的傾向のある男が好き、とか、有名人狙いのミーハー女とか、そういうわけでは全く無い。
彼女が男たちと交際していたのは、彼らが無名時代の話なのだから。
本当に普通に生きていて、普通に恋をして、たまたま付き合った男が良くも悪くも日本の歴史に名前が残る人物だったというだけなのだ。
そういう星のもとに生まれた、としか言いようがない数奇な恋愛運。
そんな運命の元に生まれている人が、この世界には確かに存在する。
俺の人生も、そんな事例の1パターンだったのだろう。
女性タレントが過去の恋愛をぶっちゃける『女が吠える』系のバラエティー番組、
そこで付き合っていた彼氏がことごとく少年院や刑務所に入ってしまうって笑いながら話していたギャルタレントがいたっけ。
あのトークを聴いて、泣きながら共感した男って俺くらいかも知れない。
過去に付き合っていた元カノ今カノが、ことごとく、ことごとく。
歴史に名を残すような大量殺人鬼として捕まっていく。
その悪夢みたいな状況。苦しみ。恐怖感。
たぶん想像もつかないよな?
俺の異性の趣味が異常に悪いのか。特殊な女の子を惹きつけてしまうフェロモンでも出てるのか。はたまた先祖の一人に、美容のために身分の低い少女の血を溜めて入浴する的な極悪非道の殺人鬼でもいたのか。
どういう因果なのかは分からないけど、とにかく、俺は今まで付き合った女性が全員、日本中を騒がせるようなとんでもない猟奇事件を起こして捕まるという、異様な星のもとに生まれてしまったのだ。
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