サイコパス元カノ×7

10/25
378人が本棚に入れています
本棚に追加
/25ページ
澁澤は、懐からなにか取り出し、俺の目線のなかに入れてくる。 「日本での生活歴がある事」 写真だった。女の顔写真。 6人ぶんの顔が並ぶ。 いずれも死ぬまで忘れる事の出来ない顔、顔、顔。 俺の人生に深く刻み込まれた女たちの人相。 記憶の中のものより少し老けてて、化粧けが剥ぎ取られているけど、それでもすぐに誰かは分かる。 その顔は、ことごとく心に生傷状に刻みこまれている。 「そして、全員が、あなたと一時期、強い絆で結ばれていた…………いわゆるである事」 長い時間をかけて分厚く封じ込めてきた記憶の蓋が、あっさりと砕けて口を開ける。 中からドロリとしたトラウマが溢れ出てくる。 「……新城さん、あなた、この女たちになにを吹き込んだのですか?」 はっきりと、得体の知れないこの男のエリート顔に、悪意が浮かんでいる。 「…………まさか、あなたが裏で糸を引いてるんじゃないですよね?」 俺は男の顔を黙って見つめ返した。 そう疑うのも無理はない。そう疑うのがむしろ自然だ。
/25ページ

最初のコメントを投稿しよう!