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六時限目の授業が終わり、クラスメートたちは部活組と、このあとどこに行くと話をしている帰宅部組に分かれた行動になる。
帰宅部ではあるけれど、友だちのいない私は、周囲の楽しそうな会話を聞こえないように意識をしながら、いつものように帰宅の準備を始める。
家に帰ってやりたいことがあるわけでもなく、今日もいつもの土手に座って雲でも眺めていようかな、と考えていると予想外に声をかけられた。
「ねえ、藍野さん、このあと暇?」
「えっ?」
声をかけてきたのは、クラスでも女子のリーダー格の逸見佳奈だった。このクラスになって三ヶ月、初めて話しかけられたのではないだろうか。そのため、えっなんて驚きが無意識に口をついてしまったのだ。
「あっごめん、いきなりだから驚くよね。先週駅前にオープンしたカフェがさ、五人以上でいくとパンケーキセットが割引になるのよ。いつもなら、美鳥がいるから五人なんだけれど、今日は休んでるしさ。それに藍野さん、いつも一人でしょ。なんかさ、気になってて、仲良くなりたいな、なんて」
早口で捲し立てるように話す逸見さんのペースにのせられたところもあるが、正直クラスメートと放課後出かけるなんてことに憧れも抱いていた。
「あっ、うん。大丈夫」
「じゃあ決まり、ほら早く行こうよ」
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