解けたリボン

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「メリアの髪って、綺麗だよね。サラサラで、すごく指通りもいい」 「そうですか? (くし)でとくくらいしか、手入れはしていないんですが」 楽しそうにメリアの髪を三つ編みにしていくエルド。アルベルトはその様子を黙って、見ているだけだった。 「よし、出来た! うん、思った通り可愛いね」 毛先は先ほど購入したリボンで、蝶々結びにしてまとめられていた。ゆるめに編まれた三つ編みは、確かにメリアのふんわりとした雰囲気によく合っていて愛らしい。 「どう? アルベルト。可愛いでしょ?」 エルドに声をかけられたアルベルトは、ゆっくりとメリアの方を振り返る。メリアはアルベルトにじっと見つめられ、緊張しているようだった。口元はにっこりと笑っていたけれど、少し表情が硬い気もする。 「……似合いますか?」 遠慮がちに尋ねるメリア。やや目を見開いたアルベルトは、「俺は──」と口を開く。と、そのとき──。
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