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プロローグ
その男は、穏やかに微笑みながら言った。
「君は『僕』なんだよ。」
目の前にいるのは、気だるそうにソファに座り頬杖をついた、少し髪の毛が伸びているけれど、『自分』と同じ顔をした男。その横に視線を動かすと、目を伏せて静かに佇んでいる『自分』の婚約者。
頭の中がぐらりと揺れる。
(僕は誰?)
(僕は「僕」だ。)
そう信じていた。
でもある時突然に、真実は突きつけられる。
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