料理人

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料理人

 一線を超えた科学者は、必ず脳をイジりたがる。俺が好きな漫画のセリフだ。  初めてそのセリフを目にした時は、何とも思わなかったが、今は心の底から、そのセリフがしっくりくる。  もっとも、俺は科学者ではない。  俺は、料理人。  一線を超えた、料理人だ。  俺の後ろでカタカタという音がする。スープが沸騰したかと思い、コンロの方を見てみると、鍋はうんともすんともしていなかった。おや?と思い、視線を移すと、  「ああ…」  それを目にし、俺は得心の笑みを浮かべる。  何のことはない。カタカタという音の出所は、『食材』だった。  『食材』が、震えている音だったのだ。  俺は『食材』にウィンクする。  「お前は、コレよりじっくり『調理』してやるからな?」  そう言うと、『食材』のカタカタが更に激しくなった。  俺はその様子を見て満足げに頷き、『調理中』のもう一つの『食材』の※※に※※した。  一線を超えた科学者は、脳をイジりたがるが、一線を超えた料理人は、※※をイジりたがるのだ。  『調理』をしている俺の後ろで、もう一つの『食材』が、カタカタと震えながら、糞と小便を漏らしている。
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