雪の日の待ち合わせ

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結論から言えば、彼女は来なかった。 その日はかなり寒くて、待ち合わせの途中で雪が降ってきた。 傘は持っていなくて、頭や肩に雪が積もって……それでも彼女は来なかった。 雪が降って来たから帰ってしまったのかもしれない。 途中で事故にでもあってしまったのかもしれない。 ーー『何かあった?』 そうメッセージを送ってみても、彼女のスマホに電話を掛けてみても、なんの返事も貰えなかった。 それから数日経って、卒業式の日が来た。 当日、彼女は元気そうに出席していた。 安心した。あの時何かあったわけじゃなくて良かった。そう思った。 それを伝えようとすれば、彼女が友達と話す声が聞こえてきた。 『ねぇ、あの子とはどうなったの? ほらあの、地味な眼鏡の……。告白してたでしょ?』 『あー、(しば)君? なんもないよ。そもそもあれあんたが告って来いって言ったんじゃん!』 『そうだけどさぁ。まさかオッケー貰えるなんて思わなかったし……』 『こっちから告って別れ話持ち出すのもなって思ってさ、ちょっと待ち合わせの約束してそれに行かなかったんだよね。でも何故か向こうから別れ話はされないのよ……。どうやって別れようか考え中』 なるほそ、そう言うことだったのか。 あっけらかんとそう思った。 俺は彼女の考えていたことをようやく知り、ツカツカと彼女と友達の元に歩み寄った。
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