婚約破棄事件の余波

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 草原の先の鬱蒼とした森を抜けると、そこは絵のように美しい街が待っていると言うショーンブルクの城門だった。城壁がぐるりと街を取り囲んでいる。城門を無事に抜けて、私たちは花の都、帝国自由都市ショーンブルクに入った。日が暮れかけている。  私が前回の旅で死んだ時刻が近づいてきている。夜が来たら、私は前回死んでしまった時刻を無事に超えられたのか、はっきりする。  あちこちに屋台が立ち並び、人々は実に生き生きとした表情で通りを練り歩いていた。行き交う人々の色鮮やかな衣服が眩しい。売り子の掛け声があちこちで飛び交い、往来は賑わいを極めていた。  木綿や麻織物の反物が所狭しと積み上げられた店、珍しい美味しそうやお菓子を売る店、香辛料を売る店、数えきれないほどの店が軒を連ねていた。 「この座標だと、だいだいこの辺りだと思う」
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