2 忘れるわけがない

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「ちょ、ちょっと……どうして……んっ……!」  抵抗しようにも両手を押さえつけられ、何も出来ない。その間も貪るような口づけを繰り返され、息も絶え絶えになり、頭が熱くなって体の力が抜けてしまう。 「やめて……! そうやってからかうのは……」 「からかってなんかない。昔からずっとこうしたいと思っていた」 「えっ……」  昔から? 言っている意味がわからない。最後に会ったのは卒業式。それより前ってこと?  床に崩れ落ちた体を由利に抱き止められるが、それでもキスは終わらない。  どうしよう……こんなに体が熱くなるキスなんて知らない--自然と由利の首元へ手が伸び、彼を抱きしめている自分がいた。  その瞬間体が宙に浮き、ベッドに運ばれてしまう。  杏奈をベッドに寝かせると、由利は息苦しそうにジャケットとシャツを乱暴に脱ぎ、杏奈の上に覆い被さる。 「だから言ったじゃないか……! 気持ちが暴走したって……なんとか我慢していたのに……」  本当はこんなことしてはいけないってわかってる。でもまるで火がついたように熱くなった体の衝動は、どうやっても抑えることが出来ない。 「私だってこんなことしに来たわけじゃないのに……」 「俺だって無理矢理するつもりはないよ……だから聞く。君はどうしたい?」 「……金持ちなんか大嫌いなのに……どうせ今だけで、明日になったらポイってするんでしょ……?」 「こんなにも君が欲しくて仕方ないのに、そんなことするわけがない」  それは事実だろうか。たとえ嘘だとしても、今はこの衝動のままに彼に抱かれてしまいたいと思った。
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