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 令和初期、それは短文SNSへの投稿人口が増え、個人のひょんな投稿が世論を動かす大炎上を引き起こすことになった時代である。  本日の注目投稿はこうだ。 「ある時期から(とある企業のサービス名)のチケットが全く当選しなくなった。私の周りの友達もそう。前は余ったチケットを貰っていたぐらいだったのに」  それに対して(とある企業)の元従業員を名乗るアカウントによって内部情報のリークがなされた。 「まぁ、実際人物チェックをして特定の職業の人とその関係者は当選者リストから消しているから当然。なんなら抽選じゃなくて購入でも売り切れとか嘘ついて絶対に買わせないようにしてる」  この令和の時代に職業や人脈、素行による差別を公然とおこなっているという暴露にとある企業には批難が殺到した。  しかし、数日後。このとある企業から声明が出される。  当選者リストから意図的に削除している職業があるのは事実であると。しかし、同時にこれまで起きたスペシャルな事案が公表されると、世論は一気にとある企業に同情的なものへと変化したのだ。  同業界の企業や航空会社、鉄道各社、各種観光名所や遊園地、警察までもがとある企業を庇う声明文を出す異例の事態となった。 *  俺はSNSの音声付きまとめサイトと化したテレビを観ながら緑茶を啜った。 「あー、わかる。名探偵と豪華客船とか絶対乗りたくねぇもん」 おわり
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