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清水さんが横から割って入って来て、突然、いつものように煽ってきた。
「ちょっと、何で清水さんまでそんなことを言って」
わたしはピキリと静かに怒りを抑えて、営業スマイルを過剰に作った。そして、清水の二の腕を強めに冗談っぽく叩く。
「僕が記事で書いた文言を使ってくれるなんて・・・・・・!」
感動した様子で、鈴木さんは言っている。カオスな場面である。
「かれんさん、ご指名です」
清水は何事もなかったかのように淡々と呟いた。
「すみません。ちょっと行ってきますね」
グラスに注いでいたノンアルコールドリンクを飲み干し、わたしは浴衣で席をひらりと立った。
「あ、お酒が飲めなくなったのは本当だからね」
引き留めてきて、鈴木さんは必死に訴えかけてきた。
「キャバクラに通いすぎて、倒れたとかですか?」
わたしは立ったまま、ひらひらと手を揺らして微笑んだ。
「まあ、そんなところかな」
涼しい顔で、鈴木さんは言い放っている。
「かれんちゃん、まだー?」
向こうの方から、お客さんの呼ぶ声が聴こえる。どうやら盛り上がっているようで、かなり酔っぱらって耳まで真っ赤にしている。
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