五 下戸の嬢王

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清水さんが横から割って入って来て、突然、いつものように煽ってきた。 「ちょっと、何で清水さんまでそんなことを言って」 わたしはピキリと静かに怒りを抑えて、営業スマイルを過剰に作った。そして、清水の二の腕を強めに冗談っぽく叩く。 「僕が記事で書いた文言を使ってくれるなんて・・・・・・!」 感動した様子で、鈴木さんは言っている。カオスな場面である。 「かれんさん、ご指名です」 清水は何事もなかったかのように淡々と呟いた。 「すみません。ちょっと行ってきますね」 グラスに注いでいたノンアルコールドリンクを飲み干し、わたしは浴衣で席をひらりと立った。 「あ、お酒が飲めなくなったのは本当だからね」 引き留めてきて、鈴木さんは必死に訴えかけてきた。 「キャバクラに通いすぎて、倒れたとかですか?」 わたしは立ったまま、ひらひらと手を揺らして微笑んだ。 「まあ、そんなところかな」 涼しい顔で、鈴木さんは言い放っている。 「かれんちゃん、まだー?」 向こうの方から、お客さんの呼ぶ声が聴こえる。どうやら盛り上がっているようで、かなり酔っぱらって耳まで真っ赤にしている。
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