台無しその35:Gの恐怖

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台無しその35:Gの恐怖

「この世で恐ろしいものは?」  そう問われたならば何を思い浮かべるだろう。  天災や犯罪、事故など、怖いものは数多ある。  それなのに真っ先に私の脳裏に浮かんでしまう回答は、 「――ゴキブリです」  あのルックス、あの機動力、あの適応力。  幼少期から現在に至るまで、私の恐怖のシンボルである。  一人暮らしとなった今、父や弟をG滅却代行として召喚することが出来ない。だから私はあらゆる場所に殺虫剤(G特化のやつ)を常備している。  他の事に集中していて油断しやすい場所、例えば化粧台、洗面台、お風呂場、玄関など……様々だ。  そしてついに私が風呂上がりにドライヤーをかけているとき、ヤツは現れた。鏡越しに見えた、私の背後の壁に黒い影。  私はGから目を離さないように、ゆっくりとスプレー缶を手に取ると、ガンマンのように鋭く振り返りながら、スプレーを吹きかけた!  エイトフォーだった。 *** (鹿山後記) G「いい香り……」
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