革命で人は幸せになれるのかって?

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革命で人は幸せになれるのかって?

「——ところで、そんなミネルバに妹がいることは知ってる?」 「妹?」  俺は眉を顰める。隣国の王女に妹が居るなんて話、聞いた事が無い。彼女は「そう、妹」と頷く。 「その子はずぅっと、姉であるミネルバを見てた。ミネルバのことを愛していたからね。だって、この世界でたった二人きりの姉妹なんだもの。そりゃあ愛するし、慈しむわ。  公的には、ミネルバは一人っ子ということになっているの。何故なら王女はミネルバ一人で事足りたから。()なんていらなかったの、だから最初から居ないことになった(・・・・・・・・・)」  その時、俺は何故かゾッとした。同時にやはり王族は悪なのだと強く確信した。必要無いからと子供の存在を消してしまうような悪魔のような所業が許されるわけがない。革命家のリーダー達の言う通り、王族は根絶やしにしなければならない。腰に下げた剣の柄を思わず握れば、彼女はくすくすとまた笑う。 「ねぇ、アナタって元々は農民でしょう? 麦を作る人。剣を握る人の手じゃない、その手のマメの出来方は桑や鎌を持つ人の手だもの」 「……だから、なんだよ」 「ミネルバは嘆いてるの。本当なら剣を手に取るはずじゃなかった、血に濡れるはずじゃなかった民までもが血を浴び処刑を娯楽として熱狂する現状に」 「……」 「皆喜んでる。首を吊られて死んだ王族を見て、喜んでる。人の死を見て喜ぶなんて、まるで悪魔みたいね」 「黙れ!!!」  俺はいきり立って反発した。そんな悪魔のような所業を起こさせたのは他でもないミネルバ達王族なのに、その王族が民を悪魔だと罵るつもりなのかと。彼女はまたくすくすと笑う。だんだんその笑いすら癪に障るようになってきた。だがどうせ、この娘も明日には死ぬのだ。そう考えて、なんとか平生を保つ。 「これ以上喋るな! もうお前の話なんて聞きたくもない!!  お前は悪魔だ! お前達は悪魔だ!! 俺達を苦しめた、死んでしまえ!! 死に晒せ!!!」 「嗚呼怖い怖い。鏡があったらアナタに見せてあげたい。人の死を声高らかに願うアナタの姿を、アナタ自身に」  くすくすと、彼女は笑った。そしてゆっくりと起き上がった。
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