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刑事は私に言った。
「あなたが坂川由香ですよね?」
「違います! 私は榛名美織です。由香は私の友達です」
「あのですね、報道で知っていると思いますけど、榛名美織さんは昨夜、殺されているんです」
「それは間違いだと思います。火事で死体が燃えたので、それで間違われたんだと思います」
「警察の捜査をなめてもらっちゃ困るよ……こっちは指紋で確認取っているんだ。そして、指紋以外にも身元を調べる方法はいくらでもある。死体は間違いなく、榛名美織だった。そして、あなたは坂川由香だ。第一、私が部屋に行ったとき、あなたも自分が坂川由香だと認めていただろ?」
「いや、あれは気が動転していて……私が死んでいないってバレたら殺されるんじゃないかと思って、それでつい……」
「じゃあさ、指紋、採取してもいいかな?」
「はい。ぜひお願いします」
これでやっと、私が榛名美織であることを証明できる。
ちょっと安心した。
「じゃあ、調べてくるから」
刑事と鑑識官は、私の指紋を採取すると出て行った。
私は取調室に一人、残された。
もうじき、真相が明らかになる。
もっと早く、こうしておけばよかったのだ。
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